間が開いてしまいましたが続きです。更に長いです。
2.嵐を呼ぶ女
トップの卒業を見送るのはわたるさんで2回目です。
2005年8月14日東宝千秋楽で卒業されたわたるさんの最初の相手役・檀れいさんの卒業が初めての劇場外での出待ちでした。(これはまた別の機会に)
そして今度は男役トップの卒業…想像しただけでも凄そう…
私は4時に劇場前に立ち始めました。位置は前から4列目くらい。前にはシートや椅子を用意して座り込んでいる人々がいます。村に比べて東宝で待てる場所は狭いため、絶対その姿をちゃんと見たい場合はこのくらいの根性が必要かと思います。
11月にしては寒い日でした。使い捨てカイロをポケットに入れておいてよかったと思いました。東宝は建物が建て込んだ場所にあるためビル風が吹き込みます。時間が経つにつれ、そのビル風も更に強く冷たく吹きこんできました。
徐々に人が増えて私の後ろにも列が出来始めます。人が増えていくと風が凌げそうですが、どうにも寒い!冷える!せめて風が止んでくれないかと思いながら次第におしくらまんじゅう化していく人の中で寒さを耐え忍んでおりました。
そういえば、大劇場での千秋楽前、台風が接近していて卒業の日も心配されていたはず。(当日、台風の影響はなく無事だったようです)
東宝も風が吹き荒れ続けていました。うーん、どうやらわたるさんは雨・風を呼ぶ人らしい。寒さに耐えながらもわたるさんらしい卒業に立ち会えることを喜びとして噛み締めていました。
この公演で卒業される方も多く、そのためわたるさんが出てきたのは8時を回った頃でした。待ってました!とばかりに待ち人たちは一斉にカメラを頭の上に構えたため、背の低い私はあっという間に埋もれて視界を失いました。しかし根性で人垣の隙間から袴姿のわたるさんを拝見。すっきりとしたその笑顔を確認しました。
白いユニフォームにペンライトを持ったファンクラブのみなさんがわたるさんに贈った言葉。
「わたるさんのこと一生忘れません。幸せになれー!」
(最初の部分が聞き取れなかったので『GRAPH』より)
幸せになれー!
…「愛するには短すぎる」の最後の別れのシーン。銀橋を走って去っていく白羽クラウディアの背中にわたるマイケルが声を振り絞って投げたセリフです。身体が冷え切っていたせいか、聞いた時はぴんときてなかったのですが、出待ち終了後シャンテの地下で坦々麺を食べながらふと、あのセリフか!と思い出し、箸を持ったまま急に泣きそうになりました。
過去に叶えたかった願いを選ばず、未来へ向かう幸福を選んで旅立つ二人。
すごく寂しいけど、宝塚から卒業してゆくみんなには新しい世界での幸せが待っているのだな。寂しくて複雑な気持ちにはどうしてもケリがつけられませんでしたが、少しでもそう納得できたような気がします。
家に帰る途中の道で見上げた夜空には大きくきれいに光る星が見えました。強い風が塵を掃って空がとても澄んでいます。よく見れば星が他にもたくさん見える。
思い切り風が吹いた後にはこんなにきっぱりときれいな星が見えるのか、と。
更にその先に見えてくる空にも、別の形や色の星が探せるようなわくわくする世界があるのかもしれないな、と。
とことんやって、風を巻き上げて、わたるさんは新しい未来へと移動していったのかなと思いました。木枯らしの洗礼を受けて、自分も頑張らないと!なんて思えた帰り道になったのでした。
コメント
忘れられない日でしたね^^
この日、こむさんから当時の様子をメールしてもらったんだよねぇ^^
空気や雰囲気まで伝わる実況でしたよ^^
これからも沢山のジェンヌさんが宝塚のステージから巣立ち、素晴しい活躍をしてくださると思うと、本当に淋しいながらも楽しみでもありますね。
そうです^^
わたるさんは星組から「未来組」へと移動されたのですね。
さすが幸さん、いいことおっしゃいます♪
●大泉タクミ。さん
あの日はメールでおつきあい頂きありがとうございました。
正塚晴彦さんに良い形の「決別」を見せてもらったような気がするのです。
本当はね、タカラジェンヌでいてほしい、
ジェンヌじゃないと嫌!なんだけど、それだけが「道」だろうかと。
「未来組」。文章から拾ってつけてもらってうれしいなあ^^
これからは未来組のみなさんも応援していきましょうね♪