もしも…＠ラ（その３）

もしも賢太郎さんが飛行機のパイロットだったら…
妄想が完結です･･･
今頃･･･

〔ポーン。 It’s show time !〕

マジックショースタート。

鳩が飛ぶ。ステッキが飛ぶ。ハンケチの色が変わる。
前方の客から後方の客へとメモが回る。
＜王道なマジックですけど、お～って言ってあげてください＞
前方から聞こえる「お～！」
＜定刻通りに着きたいですよね？お察しください＞
メモを開いた客は皆静かに頷く。
満面の笑みを湛えた機長は恙無く最終ブロックへ。
前方の客は、ふ～っと一息ついて新聞を広げたり、DSを再開したり。

･･･
と。
「ぅえええええええぇぇぇぇぇぇっっっっっっえ゛！！！！！」
後方から唐突に聞こえてきたもんの凄いどよめき。
「･･･んだよね？」「･･･びましたね」「･･･いたよね？」「釣ってたの？」「いや何も見えなかった」「･･･出たね」「･･･出ましたよね？いいんですかね？･･･」「一回、あちっ、って言った」「･･･えましたよね」「･･･えたねぇ」「ごーってね～」

最後方の客満場一致「･･･（イリュージョンを見た）･･･」

ラストマジック終了後、スキップで帰っていく機長。
途中からツーステップ。
前方に戻り、最後に客席に向かってエンターテナーなお辞儀をして操縦室へ。
何が起こったのかわからない前方の客はいまだ納まらぬどよめきに、「なに？なに？」ときょろきょろ。

ポーン。
機長「ありがとうございました。楽しんでいただけましたでしょうか？では最後にわたくしによるGLAYの歌でお別れを致します。え～あ～曲は･･･あ、なんだよ！･･･マイク！マイクよこせ･･･」
･･･「･･･（時間ですからっ）」
機長「･･･（しょぼん）」
･･･「副操縦士の山田です。本日はエア・ドゥをご利用いただきありがとうございました。当機はわたくしが責任をもって旅の安全をお守りしました。今後ともエアでエンターテインメント！エア・ドゥをよろしくお願いします･･･え？･･･ああ、はいはい･･･は？･･･『はい』は1回･･･はい･･･尚、到着ロビーにて機長がフリーハグを予定しているそうです。付き合ってもいいという方は付き合ってあげてください。喜びます」

〔Touchdown !〕

ほぼ定刻通りに到着。
客より先に到着ロビーに駈けていく機長。
やれやれとぞろぞろと降りていく乗客のみなさん。

先に出た客「･･･（大きい人が両手を広げて立ってる）」
ハグ、していきますか？されますか？
スルーできると思いますか？

（ 完 ）