「しげるの素」其の拾九 ~ 2

つづきです。
「蟻」のセットリスト後半から。


5.夢の石松
●斉木さんはドラムの叩き方がわからない。で、スティックを持たずに素手でドラムを叩いてみたらこれが浪花節に合う。これで行こうと思ったら片手でマイクを持たねばならないことが発覚。空いた片手で叩いても音が出ず断念してスティックを持つことに。
●ドラムセットは3万円。
●浪花節といえば広沢虎造。昔聞いた記憶で今回の浪花節をうなった模様。
●最後の敬礼は震災後救助活動などにご尽力された自衛隊や警察官のみなさんへの敬礼であったらしい。
●この「夢の石松」に関しては斉木さんもあまりコメントがないようでした。とにかく浪花節とドラム、これに尽きるかな、といったところで。(最初、下ネタな~・・・って困ったような表情をしていましたよ)
6.コタツ男と箱男
●斉木さんの役は当初きたろうさんがやる予定だったが、きたろうさんの出番が続けてあるので大変だということで斉木さんに変更。
●名古屋ではウケたみたいです。
●パンフレットの雑談で養蜂の話があったので、このネタも雑談から生まれたもので、シティボーイズさんの誰かの趣味も入っているのかな~って思ったのですが、100%天久さんのアイディアネタだったようです。私はなんとなく斉木さんの趣味が入っているのかな~って思ってしまった。しげるに潜む静かな狂気、みたいなものを久々感じて、怖いわこの人~って、でもこの人こういうの好きそうだわ~って思ってしまった。そう思わせる演技に、しげる流石!と個人的に尊敬。
7.森に住む
●東京ではウケたネタだが、大阪ではあまりウケなかった。
●良々さんが履いたティッシュの箱も既成のものではなく作られたもの。既成ものでは良々さんの足が入らない。
●良々さんと有志さんというしっかりした役者2名の芝居から始まるこのネタ。あまりに気持ちを込めすぎて、日々芝居が真面目になっていき、気持ちを込め過ぎるのはよくない、もっとさらっと、といったアドバイスがメンバーからなされたらしい。ドラマチックになっていくのを途中で注意したのだそうです。大阪でウケが悪かった(つかみが悪かったという意味か?)のは真面目な芝居っぽさが前面に出てしまったからかな?というのがしげるの見解。
8.なにもかんがえない広場
●総理の登場シーン。何もしゃべらない総理。あれは最初から何も言わないと決めての演技だった。総理は何も考えていないということを表現したかった。お客さんの反応はよく見えるから、自分が黙ったままの状態にお客さんがどこまで耐えられるか勝負したかった(もっと引っ張りたかったらしいですよ)。この場面で大竹VSきたろうの演技論の違いがはっきりと。大竹さんが何も言わない総理に思わず「そこは自分で考えるって言ったじゃないですか!」と突っ込んでしまうのは、きたろう的にはNG。芝居の世界から外に出て、外側からの声を入れられてしまうと芝居が成立しない。きたろうさんは「何故何も言ってくれないのですか(←注:すみません、記憶が定かでないのでママのセリフではありません)」という風な芝居に沿ったセリフで受けるべきだと。斉木さんはきたろうさんに賛成。でも大竹さんは芝居の外に出る演技が好き。こんな感じで演技論闘争が勃発するらしいです。
●総理の合言葉、毎回考えるのが難しくて大変だったらしい。一番良いと言ってもらえたのは「正面から見た妻の顔」。(筆者は「大きい芝居が好き!」が好き)
●斉木さんの「イスカンダルへ」というセリフ、出演者のみなさんが今ひとつわからなかったのが不満であったらしい。何故ヤマトはイスカンダルへ行くのか?それは放射能除去装置がイスカンダルにあるから、ということをみんな知らない!って。
●最後、列を作って歩いていく人々は何を表しているのか?みんなわかった?あれはハメルンの笛吹きだよ、つまりみんな死んじゃうの。・・・だって。(筆者は土地を捨てて立ち去るのかと思ったの。でも大竹さんが何故神父の格好なんだろうってのが引っ掛かっていて。で、列から、葬列というのも連想したのはしたんだけど・・・まさかだよ~)
9.甘い部屋
●防護服の中の人はマネージャーさんたち。斉木さんのマネージャーM氏がある日躓いたことがあり、大変ウケたらしいです。
●最後の「あれは何だ?」「シティボーイズだ!」。最初の「夢に呼び出されて」での3人の役名は実名であったから、最後も実名で出て締めとなる、といった意味合いだそうで。夢の最初に戻る?夢の終わり?といった意味もあるとか。
●天久さんはこの「シティボーイズだ!」の終わり方がとても気に入っていたそうです。(で、この終わり方は譲らなかった、だったかと)

今回作家に天久さんを呼んだのはきたろうさん。そのきたろうさん曰く、どんな本(台本)が来ても大丈夫、面白くするのは俺たちだから、といったセリフで二人を納得させたとか。ちょっとどんな場面でのセリフだったのか忘れましたが、多分どの作家さんに対しても、という意味だったのではないかと思います。

天久さんが最初に持ってきたのは完璧な1本ものだった。それぞれの役は・・・大竹さんが作家だっけ?(違ったかも;)斉木さんは旅館の女将!でもそのホンはシティボーイズによって却下されました。3人とも笑いの方向性は違うが、それを面白いか面白くないかと判断する感覚は全く同じだそうで(演技論に関しては永遠の闘争があるけど・・・)、最初の台本はNOということになったそうです。でも見たかったじゃん、斉木さんの女将。

で、改めての台本。
最初は個々のコントのオムニバスと聞いていたのだが・・・結果的には通った話になっていた。これにはヤラレタ!と思った。
天久さんは、今までの作家のものは一切踏襲しない、と言ったそう。
宮沢・三木あたりがそうだったが、気がつけば話は繋がっているという1本もの的なもの、芝居っぽいものは、シティボーイズ的にはあまり好きではないのだそうで。今回は違うな、と思っていたところ、途中までは気がつかなかったが、後半に至って気づき、してやられたって。(いつも斉木さんは実際に使用していた台本を持ってきて、それを見ながら回想するのですが、台本は個々のお話ごとにホチキスでとめられている状態なので、上がってくるのも個別、稽古も個別、なのかなあ。だから通しの状態が最初わからなかったのかしら)
三木さんが作家の時。「笑わせるだけが笑いじゃない」といったことを言ったらしく。それには、えぇ~?!って思ったという話。つまりは胸の内で笑う笑い。客が外に出さないで自分のツボで自分の中だけで笑う笑い。それは当の本人たちには疑問であった、というような話を。でも天久さんもそういう三木さんの作風はシティボーイズらしくて良いという意見で。結局はそのシティボーイズらしい作品へと導かれたのかな、というお話でした。

今回シティボーイズ3人が一緒に出ている場面が多いよね?と斉木さん。今までだとあまり3人が揃わない場面の方が多かったのにと。天久さんはとにかくシティボーイズ3人のコントが見たかったみたい、とのことです。ファンの素直な気持ち、だと思います。

幕間映像について。今回幕間映像が「転換中」という同じものだけが使われたことに対して。あれは賛否両論だったねと。天久さんが芝居の方に精一杯でそこまでできなかった、というのが正直なところであるらしいです。斉木さんは、ああいうVTRの方が舞台転換の進み具合によって長さを自由に調節できるので、勝手がいいといえばいい、と。(これにはなるほど~って)

ボツになったネタがあったそうです。ボツになった理由は、予定通りに上演するとトータルで2時間を越えてしまい、これは長い!と。じゃあどれかをボツに、ということで1個なくなったそうです。水草だけを鑑賞する水槽が中心にあって、そこはヤクザの事務所?斉木さんが親分の役で、三味線を弾くという設定なのだが、実際に弾くのはシタールで、私の記憶が確かならば本物を用意していた(予定していた?)、という話だった。斉木さんにシタールって似合いすぎる!その姿だけでも見たかったかも。

稽古場今回はあちこち転々と。何が困るって煙草の吸える稽古場がないこと。劇場も厳しい。楽屋でも吸えないところが多い。そんな中、ドラマシティの舞台袖には喫煙コーナーがある!ありがたいらしい。(いまどき舞台袖に喫煙コーナーって信じられないですねぇ・・・)

今回の公演の話のみならずこんな話も。

実はつかこうへい演出の芝居に影響を受けていたシティボーイズ?!
「熱海殺人事件」を例にしてそんな話を。役者がセリフを普通のトーンでしゃべらずに、頭ごなしにがっつんがっつん言う、それまで沈んでいた役の人が急にぐわーっと大声になる、など、つか芝居を観たことがある人ならおわかりのあの独特の演出。客席に下りて演技とか、会場の後ろのドアから出てきて客席通路を歩いての登場とか。ああいうめちゃくちゃだけれどもパワーのある演出がシティボーイズさんに影響を与えたようです。これは個人的にかなり興味深い話でした。

さて来年は?言えないことは言いませんが・・・となにやら決まったことがありそうなニュアンスで。来年という単語が出てくるだけでも嬉しい昨今。なんか、期待していいみたい、ですよ~

以上、メイントークレポでした。
蟻トーク後に舞台小物争奪ジャンケン大会が催されました。
それはまたまたつづきで。
(つづく)

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