続きです。
進行表のタイトルをそのまま記載、それに関連した斉木さんのコメントなどを並べていきます。
「西瓜割の棒、あなたたちの春に、桜の下ではじめる準備を」
1.キャリーバッグの男たち
●最初の「俺、カツラなんだよ」の台詞。当初の台本では「俺、~」の前にも言葉があったが、斉木さんがご自身で削ってより印象的に、インパクトのある台詞にした。魂込めたよ~この台詞には、と斉木さん。
●有志さんの、義足ではない方の足を大竹さんが棒で叩くシーン。最初の頃は叩かれても痛くなかったけれど、大竹さんが客の笑いを求める為にその強さがエスカレートしてしまい本当に痛くなってきて、途中からはズボンの中に木を入れて凌いだ。有志さんが格闘技で身体を鍛えているのは「素」のお客さんには周知の話。なので、てっきり強く叩かれても、さすが有志さん、痛くないんだな、ローキックで鍛えているからなんだろうな、って、筆者などは勝手に感心していたのですが、やっぱり普通に痛さに対処していたのだということを知ることができました。
●キャリーバッグに特に意味はない。(ツイッターで墓標のように見えるという感想があったことなどから)
2.西瓜割の男が登場する
●この<西瓜割の男>、斉木さんはもっとギャグにして笑わせたかったそうです。登場の音楽が緊張させるようなものだったせいか、笑いがあまり起きなかったのが残念。宮沢さんの演出で抑え目の演技になったという経緯もあり。そこは宮沢さんの美学に基づくもので、シティボーイズにかっこ悪いことをさせたくないという意識があったから、とのこと。
3.係の者は忙しい
●毎回、実際に現場に貼られていた進行表を見せて頂ける「素」。で、コントタイトルを見ると、大体、あれか、という想像がつくものが多い中、これはちょっとぴんとこないですね、との素タッフさんの感想にみんなで頷く。
●カウンター4方向にそれぞれの事案が次々と持ち出され、大竹さんが忙しかったコント。あの巻物のような部屋の間取り図、ばっと広げて見せたら面白いだろうということで作ったが、あまりウケなかったなあ、って。
●あの耳鼻咽喉科の吸入器は本物だそうです。本物を借りてきたのですって。
●ミッフィーに意味はあったのかどうかは斉木さんにはわからない模様でした。
4.3つの椅子
●シティボーイズ3人が並んで座る貴重な場面。ぼそっと「歳とったな・・・」の台詞はアドリブから生まれた。検索するべき「○○ってなんだっけ?」の○○自体を忘れてしまい出てこなかった時に、つい口を突いて誰かが突っ込んでしまったのがきっかけだとか。
●素の斉木さん、「サファリって何?」ブラウザ?なにそれ?素タッフがサファリとは何物なのかを説明するが、さっぱり理解できない(笑)台詞ではあんなにすらすら言っていたのに。スマホの扱い方、指の動かし方だけは娘さんに教わったそうです。それっぽく動かすことだけは試みたらしい。
●いとうさんの吹くディジュリドゥ。1日だけ、物凄くいい音が出てしまったことがあった。それで大竹さんと斉木さんは困ってしまい、すぐさま突っ込むべき「ヘタだな」の台詞を、間を置いて控え目な声でぼそっと言うしかなかった。とーってもいい音が出たそうです。どの会場だったのでしょうね。
5.ハローワーク
●舞台上での喫煙は事前に申請しておけば実際に吸ってOK。舞台では喫煙できるのに、劇場によっては舞台袖で吸えない場所もあるのが納得できない、吸えたらほっとできるのに、ともこぼしていました。
6.キャリーバッグの男たち2
①担当者たち
●「小さい文字の担当者」のシーンがまだ終わっていないのに斉木さんが間違えて早く出てしまった回があった。本当は袖にいないといけないのに楽屋に戻っていて、袖に帰ってきたらきっかけの台詞が聴こえたので慌てて出てしまったと。でも実は、似たような台詞を繰り返す中、それは斉木さんの出るきっかけの台詞ではなかったのだそうです。
●お客の間で話題になっていたのが「フラペチョーノって何?ギャグで言ってるのかな?」。フラペチーノはスターバックスの登録商標。だからそのまま言えずに言い方を変えたそうです。キャラメルマキアートはセーフ。その辺りは事前にしっかりと調査済み。
●舞台上から降りてくる巨大なスタバのカップ(←すいません、なんと表現したらいいのですか、あれ)。徐々に降りてくるから客にウケないんだ、と斉木さんが途中で気づき、すっと一気に降ろすようにアドバイスしたそうです。
②コント
●刑事と患者は「熱海殺人事件」のパクリ。以前も「素」で伺いましたが、シティボーイズはつかこうへいさんに影響を受けているそうです。つか芝居のあの頭ごなしに台詞を上から言う感覚で新しい笑いを作りたかったとか。そうすることで古い笑いから脱却できるのではないかと試みたそうです。
③七輪町
●このブラックさには斉木さん、さすがに演じていて辛かったそうです。
●有志さんが後ろ向きの椅子に座って動かない様子をきたろうさんといとうさんが前を通って眺めるシーンにて、有志さんは毎回二人を笑わせようと色々なことをやっていた。きたろうさんは見ないで凌いだが、いとうさんは見て吹いてしまうこともあった。(下半身素っ裸とか。これは大千秋楽の時に大竹さんが、俺なら椅子を動かして客席に見せる、と言っていたネタですね)
●歌を歌おう!の場面。♪イエスタディー・・・(以下無言)で、客席がドカン!となった場面。ああいうのは稽古場では想像がつかないので、本番でのあのウケ方はとっても嬉しかったそうです。
④女係官
●正直、下ネタ(放送禁止用語)は嫌だなあと思ったそうです。しかし、社会や世間に対する挑戦としてのネタなので思い切って。本来お笑いや演芸は体制に反抗するものであるからして、といったお話も。
●赤ピーマンはレッドカードの意味。
⑤綱引きシングルス
●下手で綱引きをしていた斉木さん。一生懸命に綱を引っ張っていたが、楽そうに堂々とやっている方がいいのかな、ということに後半やっと気づいたそうです。どこかの会場で「向こうも引っ張ってるな!」とアドリブで言ったらウケたそうです。
⑥ポアンカレ予想
●有志さんが裏で喫煙していたのは煙草休憩が欲しかったからではなく、予め台本に書かれていた設定。
●このポアンカレ予想。斉木さんはTVで取り上げられたのを見たそうです。その後、まさかポアンカレがコントになるとは思ってもみなかったと驚いたそうです。「キノコ狩はしていません」などの台詞は実際のペレルマンに関する噂などに基づく。(筆者、ポアンカレって全くの創作だと思っていたので実際の話だと知ってそのことに驚いていました)
●ちなみにポアンカレについての話から斉木さんの得意分野の話に火が点いて、「西瓜」話以上にテンションが上がってしまいました。話が止まらなくなって、この人ポアンカレでも数時間話せるのかも(汗)な場面でした。芝居の話よりも物理とか宇宙とかの話の方が好きそうですね・・・
⑦花見の準備
●大竹さんの全力疾走が凄かった花見の設営シーン。舞台の上下(かみしも)を往復で走り抜けるその舞台袖には水と酸素が用意されていたそうです。
●大竹さんのあの一所懸命さ。大竹さん曰く<自分には演じることができないから、とにかく目一杯やることしかできない>。演技ができないから、懸命にやるだけ、なのだそうです。前回の素「動かない蟻」解説回でも、きたろう&斉木に対して違う演技論を持つ大竹、という構図についてお話を伺いましたので、ああ何かわかるなあと、筆者は思ったのでした。
⑧西瓜割
●叩いた南瓜は大体粉々になったが、小倉の3日間はいずれもきれいに真っ二つに割れた。(大千秋楽では、大竹さんが南瓜を両手に持ってその真っ二つさをお客さんに見せていましたね)
●お客さんに飛んでいった場合のクリーニング代は用意していた。1回だけ、ケーキが飛び散った時、クリーニング代が出た。
●晩白柚、結構お高い果物。丈夫なので数回使いまわしていた。ネタばれしちゃうと、これを叩いた手の方が痛たた!なのは実は演技でした・・・。
●鬼と書かれた箱にも特に意味は無し。
<転換/除染作業>
●(これについては筆者、特にメモ書き無し)
7.ハローワーク2
●大竹さんと笠木さんの秘めた恋の行方。その間に挟まった斉木さんの顔だけのリアクションが日に日に面白くなっていったのですが。あれはもっと面白くしたかったそうです。しかしそうすることでお客の目が斉木さんに行ってしまい、本来笑わせる演技をしている大竹さんに目が行かなくなる。実際大竹さんが自ら客を笑わせて気分をよくしているのにやり過ぎてしまい、大竹さんの折角の気分の良さを害してしまったらしく、反省し、途中から抑えたそうです。
8.喫茶店
●身体の不自由な人が喫茶店に入ってきてから斉木さんがピストルで彼を撃つまでが全く昔と同じ再演。但し、その当時は携帯電話はなかったので、それだけは足し、更にボランティア精神旺盛な女性(役:いとうさん)が公衆電話で話す為に息子が携帯を忘れたという設定にした。で、斉木さん、では昔喫茶店に置き忘れたのは携帯ではなくて何だったのか、が思い出せないそうです。覚えている人は教えてあげて下さい(笑)
いとうさんの役は以前ふせえりさんが演じたようで、これがとっても嫌味で上手かった!とのこと。嫌味なものの言い方はいとうさん以上だったと。身体の不自由な人については昔の演出助手がとても上手かったとのことです。
この部分が再演されたきっかけは打ち合わせ中の「あの当時のネタで覚えているのはある?」みたいな投げかけに「強烈なのは喫茶店だったなあ」という会話があったことから。その後、台本にこれがそのまま載せられていてびっくりしたと。
で、この再演、元々ラジカルの何で使われたかは、結局斉木さんからは、はっきりと伺うことができませんでした。一度斉木さん「ここから彼方へ」だったかな~、と言ったのですが、筆者が観たのはどうやら「コズミックダンスへの招待・RE-MIX」であったらしい、何度か上演されたようですが元は何でしたかね、と改めて投げてみたのですが、それに対しては「ふーん」のひとことで終わり、解答無し(泣)こだわっているのは自分だけかしら・・・すいません(汗)ちなみにラジカルの映像は斉木さん曰く、自分たちは全く持っていない、とのことでしたので、実際詳しいことは把握していないのかもしれませんね。
(斉木さんの記憶なのですが、身体の不自由な人を笹野高史さんも演じているらしく。とすると・・・?年表をお持ちの方は検証してみて下さいね)
以上がタイトルをなぞったレポでした。
その他もありますので更に続く。