大満足の『モーゴ』終了後、もうここは贅沢しちまおうと思い、
タクシーでホテルに帰ることにしました。
気分だけでもプチゴージャスに、と、ホテル阪急インターナショナルのロビーに入り、エレベーターで上へあがってタクシー乗り場へ。
ホテル阪急インターナショナルといえば宝塚のディナーショー。(以下DS)
私の大好きな轟悠さんはいつもここでDSをやっているのかと思うと、それだけでうっとりしました。入り口には春野寿美礼さんのDSのポスター。初めて入りましたが、立派なホテルですよね~
さてタクシーに乗ろうとして、気分が現実に戻りました。
私は普段からあまりタクシーを利用しません。値段がかかるというのが一番の理由ですが、もうひとつの理由は運転手さんと話をするのが苦手、だからです。誰か一緒に乗ってくれれば気も紛れますが、ひとりだと自分しか対応する人間がいないわけですから無口でいるわけにもいきません。
身を屈めて運転手さんに窓の外から目で、乗っていいですか?と問いかけるとドアが開きました。ホテルモントレ ラ・スールまでお願いします、と言うと、反応がすぐ返ってこない・・・隣に読売テレビがあるだけに言えばすぐわかってくれると思っていたので急に不安に。持っていた地図を見せると、ようやく運転手さんは、ああわかりました、と答えてくれました。
「新しいホテルなんですぐに思い浮かびませんでした。ホテルの玄関までつけてあげますね」
よかった、思い出してくれて・・・ここでようやく座席に深く腰をかけることができました。
「披露宴をやるホテルですよね、あそこは」
あ、そうなんだ。そういえばモントレよりラ・スールの方がいかにもウエディングなイメージのホテル。気持ち、ふーん、ちぇっ、て感じでした。
「○○通りを通って●●の近くですよね」
「あ、すいません、地理、全然わからないんです」
「お客さんはどちらから?」
「東京です」
「え、関東の人?全然わかりませんでしたよ。関東の人やったら絶対わかるのに。お客さん、馴染んじゃって」
そうなのです。大阪の人とお話しているとイントネーションが引きずられて、ニセ大阪弁にならないようにするのに苦労するのです。でもやっぱり引きずられていた模様で、運転手さんには関西の人と思われたようです。
「関西弁マネされるの嫌じゃないですか?」
「そうですね。なんかバカにされてるような気がします」
やっぱりね~気をつけねば~
モントレの話から大阪のホテル事情の話に。
私は仕事で社員さんの出張精算をしているため、全国のホテル事情にちょっとだけ詳しいので、グループの合併話など、割とついていけるネタだったので安心。
ひとしきりのホテル話の後、
「東京に比べて大阪は汚いって言われましたけど、そうですか?」
「いや~そんなことないと思いますよ」
都心はきれいでも外れればそうでもない、それはどこも同じであろうかと。
「(たぶんその東京の)お客さんに、言葉が汚いっていわれたんですよ」
「えぇ?」
「ここを右ですねぇ、って、その、ねぇ、がよくないって」
そんな。だってそれは地方ごとにあるイントネーションの違いだし。
「そのお客さん、人のこと<お前>って言うんですよ。お前、なんて、そんな言われ方、どんなお客さんにも言われたことないし、腹が立ちましたよ」
「タチの悪い客だったんですねぇ」
「タチ悪いですよ。車降りて抗議したろかと思いましたけど、そんなことしたら警察も呼ばないといけなくなって、時間が無駄になる。その分、走って稼がないと」
ああ、大変だな。タクシーというのはどんなお客が乗るのかわからない。でも耐えて走らなければ。自分の日常の会社ストレスなんてちっちゃく思えた運転手さんの苦々しい思い出話でした。
「関東の言葉はきついですよね」
関西弁の方が時にはやさしく、感謝の念や思いやりがよりふっくらと心に染みる表現力を持つ、と私はいつも思っていたのでそうつぶやいてみました。
運転手さんもそうですね、とつぶやいていました。
「東京では乗車拒否があるらしいですね。ありえないですよ、乗車拒否なんて」
なんか東京のタクシーを基準にしか考えられなかったから、そんな話も目からうろこ。うろ覚えだけど、拒否されたことあったような。でもそんなもんだと思ってましたから。
タクシーはモントレの玄関に無事到着。ドアの前にぴたりと止まってくれました。
夜のタクシー。女性ひとりだと甘くみられるのか、何度か嫌な思いをしたこともあります。なのでどんなお話も丁寧に語ってくれながら無駄なく走って届けてくれた運転手さんが有難かった。
「今夜も頑張ってくださいね」と私から。
「お客さんもゆっくり休んで」と運転手さんから。
タクシーを降りて、ホテルの部屋に帰って、その日一日の緊張が本格的にほぐれました。
京橋にあるモントレはとっても静かな環境。
シックな内装の部屋。大の字もOKな気持ちのよいベッド。
NHK BSでやっていた宮本文昭さんのオーボエ演奏の音色をBGMにして、
あとはただ頭の中をからっぽに、ぼーっと過ごす夜が更けたのでした。
ご参考までに、
ホテル阪急インターナショナル~モントレ ラ・スール大阪までのタクシー代は約2千円でした。
翌日は京都です!
(京都プチボヤージュへつづく)