川村記念美術館
https://kawamura-museum.dic.co.jp/nature/
私はこの美術館の存在を知らなかったのですが、夏休み中の弟の勧めで行ってみまして、これがまあとても良い美術館でした。
チケットがDICカラーの色見本!
印刷・デザイン関係萌えなわたくしにはどツボなチケット。
写真:上
一般用チケットがDIC N-846鸚鵡緑(おうむりょく。おうむの羽に見られる鮮やかな緑色)@DICカラーガイド日本の伝統色より
写真:下
学生・65歳以上のチケットがDIC F-294 Vert pomme(ヴェール・ポンム。リンゴの木になる果物で非常に輝いている緑)@DICカラーガイドフランスの伝統色より
(DICカラーガイドについてはHPで調べました)
展示は<リニューアル2008 コレクション展示 川村記念美術館「絵画の森」 レンブラント、印象派、現代の巨匠たち>
http://kawamura-museum.dic.co.jp/exhibition/index.html
驚いたことに全部所蔵品なんですよね。
いちいちコメントしてたらきりがないので軽く流すと、ルノワールやモネで、しみじみ印象派の画法を堪能し、マレーヴィッチという人の絵で初めてシュプレマティズムなんて言葉を知り、鏑木清方の美人画の着物のディテールに惚れ、大っ好きなマグリットの絵が2枚もあって、特に「感傷的な対話」の赤に染まる情景に心を掴まれ、モーリス・ルイスのマグナというアクリル絵具を使って描かれた絵に惚れ、リキテンスタインやウォーホルのポップアートをこれでもかと堪能し・・・あー、軽く流すなんて、無理無理。
コレクションはまだまだあるらしいです。すごいっす。ナイス大日本インキ。
美術館の中でも特別に作られた2部屋がこれまた・・・(言葉を失う)
ロスコ・ルーム(1F)
https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/collection/ (Gallery 106番)
ひと部屋に集められたマーク・ロスコの作品「シーグラム壁画」。
照明を落としたほの暗い部屋の中に現れた大きな赤い絵(壁画)たち。部屋の壁面のぐるりすべてが赤の世界。部屋に入って思わず小声で「わ~」と言ってしまいました。
一枚一枚、絵の前に立つと、その「赤」の世界に包み込まれるような感覚になり、足を踏み出して前へ進めば、その世界にどぷんと入っていけるのではないかという錯覚が起きました。
後でこちらのHPの解説に、それは「窓」のようで、「現実の窓ではなく、いわば概念としての<窓>-赤い広がりとなった彼岸への窓あるいは扉」と言えると。私が感じた感覚そのものです。「あちら側の世界とこちら側の世界の境界」。踏み入れられそうで踏み入れられない、でももしかしたら簡単に行ってしまえるかもしれない。しかし「赤」という色が、それをやはり簡単にはさせないイメージをも持たせています。暖色なのに圧力・圧迫を感じる色。でもどこか包み込まれることも許してもらえそうな色。魅入られる、とはこのことかと、この部屋でしばし呆然としていました。
ニューマン・ルーム(ロスコ・ルームの上、階段を上がった2F)
http://kawamura-museum.dic.co.jp/collection/barnett_newman.html
(後記:後に「アンナの光」は売却されたとのことです。悲しい…)
階段を上がって正面に見えてくる1Fとはまた違った「赤」。
バーネット・ニューマン 「アンナの光」。
1点のみが正面に飾られ、絵画の両側にアールのきいた大きな窓が作られている設計の部屋。外の風景までも含めた展示というコンセプトの部屋のようです。
部屋全体を鑑賞するのも良いですが、HPの解説にもあるように、この絵は是非ぐいっと近くでも見た方がいいです。私はまたふらふらと誘われて自ら絵に近づいてじっと佇んでしまいましたが、解説によると作家自身が「大きな絵は近くで鑑賞すること」を意識して描いていたということですので、是非‘寄り’で堪能することをお勧めします。
以上が美術館の感想です。
いやー、見ごたえがあった。
(つづく)