「6月のビターオレンジ」

2011/6/11(土)18:00開演 於:東京グローブ座
http://www.g2produce.com/other/6_bo/index.html
G2さんの作品、ときたら、主演がジャニーズでも観にいかねば。
(ジャニさんだとチケット入手が困難なので厳しいよね)
なんとかチケットも手に入り、観ることができました。
以下ネタばれありです。
あの一番盛り上がるネタばれには触れていません ^ ^


総合感想としては、G2さんらしい作品だな~ということで。
セットは昭和の匂い溢れる茶の間。縁側があって、ちゃぶ台があって、茶箪笥があって。一見普通の平和な家庭の物語が始まりそうではあるが、それぞれの家族が持つ歯車はどうやら噛み合っていない様子。家族それぞれ心に隠した暗い部分を持っていて、いずれ茶の間から子供たちの姿が消える。
この物語の家族は極端かもしれないけれど、どの家庭にも闇ってあると思う。闇もあるけれど、ほのぼの明るい光もある、同時に。そんな家族が持つ表裏の場面がくるくると交互に顔を見せる、そんなお芝居だったと思います。
G2さんが闇を描こうとする作品が好き。それでいてコメディに仕上がっていくところが好き。G2さんて色んな人の気持ちを細部まで想像することができる人なのだなと思う。そして抱えもつ暗い部分・黒い部分も、他人と関わればその深刻さもちぐはぐに絡み合うことでむしろ可笑しさに転換されてしまい、結果コントになる、のかなあと。
母が違うとはいえ兄らしくない兄。優秀だけれど悩みを抱える弟。分かり合えないけれど、兄弟。分からなくて、がちゃがちゃ小突き合って、やっと理解し合えるという不器用さ。兄弟だからって気持ちがツーカーなわけではない、そのことが分かるから、深野家の兄弟のジレンマもよく分かる。大人になって疎遠になればそれぞれのプライベートも全く想像できない、それも分かる。我が家も経験しましたが(財産争いじゃないよw)、兄弟の距離がぐっと近くなるきっかけは親の死が一番ではないだろうか。あるいは亡くならなくても病気など。この兄弟はそれぞれの思惑があって、家の窮地だというのにスムーズには結託できず、そのもどかしさがドラマというかコメディになってしまう。
最後、実はお父さんは死なないのでした、という結末を期待していました。でもやはりお父さんは亡くなってしまいました。人生だけはどんでん返しのあるコメディではないのだな、と、妙に打ちのめされた気分に勝手になりました。
消えていってしまうのが分かっている人に素直に気持ちを伝えることができない、そんな哀しさをも勝手に感じてしまい、いい大人になると、観劇にも‘自分のこと’がどんどん入り込んできて頭が彷徨うようになるんだな~なんてことも思ってしまいました。
(若いうちは想像で泣けることでも、歳をとると実感で泣けてしまうというのが、結構痛い)
主演の加藤さん、誰だろうと思ってパンフを見たらNEWSって書いてあった。どんだけアイドルを知らないかってことで(汗)
今回キャストの目当てとしては大好きな城島リーダー。生でリーダーが見られるんだ!という感動w
そして朝海コムちゃん。そして久ヶ沢アニキ。
このメンバーが共演って、いやいや良いもの見せて頂きましたよ。
劇場の大方は加藤君とリーダーを見てるんでしょ?いや朝海ファンもしっかり見ているとは思うけど。
あたしはとにかくアニキ定点で、アニキと誰それっていう絡みににやにやしていましたから。
アニキがしっかりお話を締めるというか話を進める役割をしていましたです。小芝居どころが少なくてちょっと寂しかったけれどG2さんに釘をさされた模様でw
久保さんの存在感も良いですよね。このお父さんなら親子ほど歳の離れた彼女との恋愛も理解を示せるw
中川さんも最高だな~久ヶ沢&中川の狂言コンビがすっごく面白かった~
城島&中川(直樹&梶田)のコンビの裏側も、そういうことだったのか・・・というオチが観た後にほっとした感覚を残してくれました。
くせのあるキャラの中で内田さんは実にすっきりと立っていて、この芝居の芯はすべてを冷静に分析する役割である彼女のところに実はあったのかな?なんていう風にも思えます。
後日談で、香織が何故消えていったのか、あれほど純愛ぶりを見せていながらも結局現金を持ち去ったと思われるのは何故なのか、それについての説明がないところもとても良いなと思いました。
もがく人物とさらさらっと流れていく人物の交差。
物語はさらっと終わりを迎え、観た後に少しだけ気持ちを引き摺らせるものを残します。
明も暗もどちらもさらっと吹いていく。
小気味よさと苦さの両方を湛えた乾いた風が、心に流れたお芝居でした。
ビターオレンジ=橙、てのも、いっこ憶えた。

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