2008/12/6(土)11:00開演 & 12/14(日)11:00開演
於:新宿コマ劇場
雪と星を観ました。
両方ともリュータンはわたるさん。
2組観てしまうと残りの組も観たくなりましたが、
我慢してDVDの方に予算を回すことにしました。
第一幕は結構笑えるポイントもある宝塚歌劇バックステージエピソード。
第二幕は悲運や悲恋に泣く。そしてまた今の時代に繋がる‘未来への希望’を眩しく予感させてくれる。
そんな感じでした。
TVドラマとは違った舞台版。より純粋で、より力強い、タカラジェンヌたちの物語になっていたと思います。
タッチーは劇団の中でひとり異質感を出さねばならないので、元ジェンヌさんとして役作りは難しかったのではないかな、と思いましたが、さえこさんもかしちゃんもそれぞれのタッチー像にとても感情移入できる演じぶりで良かったです。
かしちゃんは宝塚の世界に溶け込めないクールさがドラマのタッチーに近いように思いました。さえこさんは溶け込めないのだけれど、持ち前のパワーが抑えきれず、どうこの世界と折り合っていけばいいのだろうという葛藤が常に滲み出ていて、ドラマとは一味違った趣き。
そして二人とも感動的だったのは死へと赴く速水さんへの心からの想いをぶつける場面。全身で訴える「私が好きなら死なないで!」という正直な愛。
速水さんとタッチーの場面が一番胸にきました。
もし平和な時代に出会っていたら。今この戦争という現実から逃れられない二人。「あなたは生きて戦後の新しい舞台人になって下さい」という本当はエンタテイメントを愛する速水さんの、自分は叶った先を観ることができない夢への想い。
あ、ダメだ、泣きそうです。
自分は舞台が好きで、今この平和な時代にたくさんの舞台を観ることができる。そして親兄弟友達と観てきたもののことを自由に話し合うことができる。
なんて幸せなことだろう。
満州で若い兵隊さんが「うちの母が宝塚大好きなんです」「目の前に本物がいる。このことを最後に母に伝えられないのが残念です」
今なら普通にどこそこで本物のジェンヌさんに会ったよ!なんて気軽に親に報告できる。でもそんな他愛ない幸せさえ、この時代では奪われてしまっていた。他にもたくさんの若者が、‘最後に話しておきたかったこと’を抱えて死んでいったんだな。そんなことも考えてしまって、このシーンも胸が詰まりました。
手塚治虫少年のモノローグと歌も戦争を物語る上で効いていて良かったです。
「いつかもっとたくさんの人を殺す大きな爆弾を落とすんやろ?」というくだり。実際手塚少年は少し先に起こる惨状を見抜いていたのでしょうか。
戦後の復興の為に作られたコマ劇場で、戦争に負けずに宝塚歌劇というエンタテイメントの火を消さずに頑張った人々の物語を観ることができて、幸せだったなと思います。
平和だからこそ、芸術や文化を好きだと公言でき、堪能することができる。
宝塚歌劇に限らず、この劇場で日本を明るくしようと頑張った人々がいる。
劇場が無くなってしまうのは残念ですが、エンタテイメントの火は消えません。
劇中、ドラマと同じように芝居の最中に軍人が客席の通路を歩いてきて、芝居を中断させ、「この劇場は封鎖されます」と告知する場面。年季の入った劇場の持つ独特の空間が、客席も含めてその時代にタイムスリップしたかのような感覚を覚えさせてくれます。
これもコマ劇場で観て良かったなと思った一点となりました。
想像以上に自分の中に大きな感情が押し寄せた舞台でありました。
だれそれさんがどうだった、という感想よりも、全員がひとつになって見せてくれたものに、胸が一杯になっております。
長すぎだ~
鈴木裕美さんの熱い演出もバンバン伝わってきた。
私が行った2日ともスタンディングオベーションになった。
舞台を命がけで作る人々の物語が好きだ。
またなんか書きたくなったら改めて書きます。
あ~もっと劇場で観たいっ。