2009/4/8(水)18:30開演 於:銀河劇場
想像していたよりも、ずっと心の深いところに響く作品でした。
初見でしたのでストーリーもよく知らないままに観劇。
暗い世界が存在するからこそ、おとぎ話は輝く。
以下、感想です。
主となるカップルのなんと苦しいこと。
人を好きになる、愛する、ということは理屈ではない、ということは知っている。だから二人の気持ちがよくわかる。
♪愛したら(If I Loved You)の<愛したら なぜだか言えなくなる 本当の気持ち>。生まれつき不器用なビリーと、そしてそんなビリーを理解し尽くしているジュリーの、不器用にしか動けない愛は、二人に余計に「愛している」の言葉を言えなくしている。Mr.スノウが普通の男性?否、過去も現在も、お話の世界でも現実の世界でも、どうしようもなく不器用な男性は存在する。
相手に気持ちが伝わらなくて、苛々して、つい相手を殴ってしまうビリー。それは言葉や態度の上であれば、私自身にも覚えがある。何故解ってくれないの?それすらも上手く口に出して言うことができない不器用さ。
対してキャリーとMr.スノウの絵に描いたようなシンプルでステキなカップル。(こういうカップルがお話に登場すると結婚願望が芽生えるのです・・・)ハードな主人公たちの物語の中で、救われるなあ、この二人の存在。(はいだしょうこワールド最高)
星のカルーセル。遠くに見える灯台。とてもステキな舞台装置。
宙から下界を見下ろす星の番人と天国の使い。
死んだ後にやっと愛する人に愛していると告げることができる切なさ。
正直、腹の底ではおとぎ話は存在しないと思っている我が身ではありますが、舞台を観ながら、もしかしたら、星を携えて1日だけ降りてきてくれる人がいるのかもしれないと純粋に思え、ラストシーンでは不覚にも涙が溢れ、慌てて涙を引っ込め、物語の最後のセリフまできちんと拾おうとしっかり目と耳を開いて舞台を見つめました。
その星に、自分だったら気づけるだろうか。
それもすべては受身ではなく、受取る側にも同じ分量の愛があってこそ成立するのかもしれない。ビリーから娘への愛は、受取る側に何も無くても無条件で与えられると思いますが。ジュリーはビリーをずっと同じ重さで愛しているからこそ、ビリーの姿が見えなくても星をきちんと受取ることができたのだと思います。ジュリーには、ビリーが死んだからこそ開放されたことをも、理解できていたのかもしれませんね。
楽曲すべてが美しく。セピア色の移動遊園地が思い浮かぶような優しく郷愁に満ちた音楽でした。
<怖れないで進め><一人じゃないさ>♪You’ll Never Walk Alone
すべての残された人々へのメッセージ。
出演者がみなさん素晴らしく。
風花舞さんがステキ~Mrs.マリン、かっこいい~
初・笹本玲奈さんでした。歌が上手!(←プロにこういう評価は変だけど、こうも言いたくなるニッポンのミュージカル事情・・・情けなし)
この日はスペシャルカーテンコール。
坂元健児さん仕切りにて出演者がおしゃべり。おもしれーサカケン!
しょうこちゃんのアントキの猪木(アントニオではないのね)のモノマネが最高だ!「元気ですかっ」腹から声が出てて、ツボwww
麻世さまに夫婦生活を上手に乗り切るコツを真面目な姿勢で聞いていた西島さん、という図が面白かった。壁にぶち当たっても君のジャンプのように飛び越えろ、みたいなアドバイス。サカケンに「説得力ない」って言われてw
そんで、何故かパンフレットの最後で細川徹&五月女ケイ子夫妻が「回転木馬」について語り合っているの。2ページも取って。この舞台に照らし合わせて夫婦とは、みたいな。なんでこの夫婦??「そういえば、きたろうさんに、何かあったら子供を作れって言われた」とかいう話を「回転木馬」のパンフで読めるとは思わなかったわ。
「回転木馬」、銀河劇場によく合っていたと思います。
美しいミュージカルが観たい人は是非。