ジェラール・フィリップをじっくりと見たことがないので、BSでやっていた「肉体の悪魔」を見た。
いや~この映画、面白い!
要は旦那が戦争に行っている間の妻の不倫の話なのですが、ただのメロドラマではなく。
どっぷりと愛に浸りながら、冷めた目も同時に持つ女性っていうところが、いかにもフランス映画?夢は見ないのですよね。二人の結末はわかっている。
恐らくは母に決められた結婚前、ブルーになっていたところに現れた若い恋人。結婚しなければ母から自由になれない女性の立場。自由に恋愛したい気持ちとちゃんと結ばれたい気持ちの間で揺れる様も感じたな。彼を子供と言いながらも彼女自身も子供さが抜けていないところは何だか共感できる気がして。
彼ったら良い家のお坊っちゃまで、年上の女性に夢中にはなるが、ちゃんとお家には帰る。時々抵抗を試みながらも結局パパの言うことを聞いたり、顔色を伺ったりと、良識は捨てきれない男の子。彼女が夫からの手紙を見せようとすると、僕にそんなものを見せてはいけないよ、なんてまず注意するところも、面白いですね。
ここん家の‘パパは何でも知っている’感が面白かったな~パパも相当な恋愛経験有りなんだね。だから彼女から気持ちを引かせる方法をさらりと使ったりする。<女に冷たくされるとあとを追うが、愛されてると分かると簡単に別れられる>・・・ここに息子を導くところが、くぅ~!(超感心。パパ最高)
二人が揺れながらも正面からぶつかり合う会話でもって進んできた恋愛は、悲劇とは呼ばなくて良い、そんな潔さも感じます。
ことが恋愛なお話なので、この辺の感想は見た人様々かな~とは思うけど。
とにかく凄いなーって思ったのは。
自分が信じて選択していることはひたすら正しい。
自分がまず不義・不貞を働いているのに、他人から受けた虚偽を激しく叱責する、その「え~」「は~?」って思っちゃうような態度。
・・・うーん、フランス人てこんな感じ?なんて、目が点。(いや、フランス人がみんなそうじゃないけど。実際映画の中では二人の関係は常に厳しい視線に晒されていましたものね)
・・・でもちょっと羨ましいぞ。非難されても、それが何か?みたいな。
僕たちは互いに愛し合っていますが、何か?みたいな。
授業?そんなことより彼女が大事ですが、それが何か?みたいな。
あ、いや、あくまでも、お話の世界でね。
駆け引き。会話の妙。ただロマンチックなのもたまには良いけど、こういう映画の方のが見がいがある。
そうそう、ジェラール・フィリップじゃなかったら、早い段階であたしゃ心の中でこの男を殴り倒していたかも。まあ、二枚目だから彼女も恋に落ちたのでしょうが ^ ^
そしてこの映画はある程度年齢を重ねてから見た方が楽しめるかもしれませんね。
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コメント
ジェラールフィリップと聞いて飛んできました(アランドランにも反応)
フランス映画の恋愛模様はなんだか苦手なのですがね
ジェラールフィリップはモンパルナスの灯がオススメです←赤い風車の画家…誰だ?…の伝記です
では
●くのいちさん
いや~きれいな顔ですよね~
ジェラール・フィリップ。
フランスの恋愛映画が全部そうかは知りませんが、
情熱に燃える炎と冷静な氷と両方を同時に会話に混ぜていく感じが、
私的には面白いです。
その方がリアルな恋愛を感じるからかな? ^ ^
夢見る古き良きハリウッドも好きだし、こういうのも好き。
「モンパルナスの灯」はモジリアニの生涯ですね。
ジェラール・フィリップ、ぴったりですね。
昔の映画オタクの母のおすすめは「赤と黒」です。
確かにジュリアン・ソレルはハマりますよね~