「冬の絵空」

2009/1/18(日)18:00開演 於:世田谷パブリックシアター
https://setagaya-pt.jp/theater_info/2009/01/post_134.html

観終わった後、大きな満足感に包まれる作品でありました。

作家の小松純也さんが弱冠二十歳の頃書き上げた作品だそうですね。
「死んだもん勝ち」 若いからこそ発想・発散できた表現なのではないでしょうか。
生きた証を立てるため、死に疾走する。特に武士としての証を立てるのには、一番わかり易く、一番の近道なのかもしれませんね。

目の前に生きているのが本当の主君であろうが影であろうが、惚れた相手が本当の相手であろうがなかろうが、真価を見出せたものに向かって走っていくことの陶酔。

芝居という狂言を手本とし、それに憧れて本当に心中してしまう人々の図は、悲劇なのか喜劇なのか。

絵空事を生業とする役者が実際のヒーローとなり、偽の本懐を遂げるのは、それすなわち偽者を極める者の本懐と呼んで良いのだろうか。

死へと走り、その懐に飛び込む恍惚を得られないものは、取り残され成仏もできない。

何が真で何が偽か。
真と判断したものを信じ、絵空事を己の真としてしまう者になるのか。

絵空事は絵空事、偽は偽であると渦中で動けず、ひとり取り残される者になるのか。

なんというか、新鮮な脚本でした。

ものの考え方の自由さについて教えられ、面白がったり、多彩な解釈をしたり、芝居とは如何様にも走っていけるのだということ。

多分初めて生・生瀬さんを観た。ド迫力の演技に感動した。
どの役者さんも素敵。
片桐さんも謎だった役どころが分かり。最後の刀を持ち立ち上がるシーンの格好良さにやられる・・・素敵っ。

奇しくも私が観劇日に着ていた服の背中には十字架。
昼の部を観て合流したお友達は私の背中を見て、密かにほくそ笑んでいたらしい (私は休憩時間にトイレの鏡で気づき、あ!って思いました)

最後のシーンの桜がすんごく綺麗でした。
雪も桜と見れば桜。
今生の絵空を、鮮やかに見てゆく目も、己次第ということで。

 

冬の絵空 [DVD]
作:小松純也
演出・上演台本:鈴木勝秀

コメント

  1. ちゅん より:

    はーい、ニヤッとした人参上です(笑)
    でもほんといいお芝居でしたね。
    なんだかぐるぐる色んな事を考えさせられます。
    図らずも、というか間違って(笑)もう一度観に行けるので
    今度はじっくり芝居の世界観に浸ってきたいと思います。
    また、遊んでやって下さい!!

  2. より:

    ●ちゅんさん
    どーも、ニヤっとされたお方(笑)
    ワンモア鑑賞、あり!ですよ~
    2回目に観るとまた違う印象や感想が出て来ると思いますよん。
    どっぷり浸ってきて感想読ませてくださいね!
    そんでもって、こちらこそまた遊んでやってくださいまし。
    パワーチャージ中。
    ふっふっふ。

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